どんな記事
この記事では、投資歴5年の〝現役〟兼業トレーダーが、2018年9月現在、実際に運用している「トレードルール」をすべて公開 しています。
追記
2018年9月24日
「取引する銘柄」を追記しました。
2021年1月18日
「複利と単利」の記述を若干調整しました。掲載していることは間違いではありませんが、現在は単純な複利運用がもっとも良いと考えています。詳しくは最新の記事をご覧ください。
あなたのトレードルールは正しいですか?
- 自分のトレードルールに自信がない・・・
- そもそも、トレードルールをつくっていない・・・
こんな方にとって、今回書いた記事は大変役に立つものだと思います。
なぜなら、この記事は*〝他人のルール〟と〝自分のルール〟を比較できる絶好のチャンス*だからです。
この記事では、投資歴5年の〝現役〟兼業投資家であるボクの、2018年9月現在、実際に運用している「トレードルール」 を、余すところなく すべて公開 します。
トレードスタイルやライフスタイル、メンタルなどの違いによって、このルールをそのまま使用できるとは限りませんが、他人のトレードルールを知ることは大変役に立つことだと思います。ぜひ、参考にしてみてください。
資金管理・リスク管理
何よりも重要な、資金管理とリスク管理。おろそかにしていると、どんなに良い手法でも負けてしまいます。
多くの人が〝この点を軽視している〟ことを考えると、この記事の中で 〝最も価値のある情報〟 かもしれません。
すべての取引は「ユニット」にもとづいて行う
この考え方はシンプルで、以下の一言に尽きます。
すべてのエントリー(取引量)= 1ユニット
エントリーするときの取引量を、すべて「ユニット」に合わせるだけです。
この考え方は「タートルズ」という投資集団が用いていたもので、〝割り算を1回するだけ〟 算出することができます。
以下は書籍から引用です。重要な箇所を太字下線にしています。
わたしたちは自分たちのポジションをユニットと呼ばれる塊で取る。各ユニットの大きさは、取引枚数が1‐ATRの価格変動で口座残高の1パーセントになるよう設定されていた。100万ドルの取引口座なら1万ドルだ。そこで、特定の市場で値幅1‐ATRが示す金額を見て、1万ドルをそれで割れば、リッチ(リチャード・デニス)がわたしたちに割り当ててくれた取引資金100万ドルごとに取引できる枚数が出る。この数字を、わたしたちはユニット・サイズと呼ぶ。不安定な市場、もしくは高額の契約の市場は、定額の契約の市場、もしくは安定度の高い市場より、ユニットは小さくなる。
この「ユニット・サイズ」は以下のシンプルな計算式で求めることができます。前述した「割り算」のことです。
引用元の著書「伝説の投資集団 タートル流投資の魔術 P.292」では、もう少し詳しく紹介されています。当ブログでも、ATRとあわせてユニットについて解説しているので、「よくわからん」な人は、以下の記事を読んでいただくのが良いかもしれません。
資金管理:複利と単利
四半期ごとの複利
四半期の期間中は単利
複利と単利の考え方は、投資をする上で非常に重要です。なぜなら、複利と単利に以下のような特徴があるからです。
複利の特徴
- 複利と時間で大きな利益を生むことができる
- 複利は直近の損益の影響を強く受ける
- 複利は単利よりも大きな勝率やRRが必要になる
単利の特徴
- 複利のような爆発的な利益を生み出すことはできない
- 勝てるはずの勝率とRRを再現できればちゃんと勝てる
これらの特徴の 〝いいとこ取り〟 をするために「四半期ごとの複利」「四半期の期間中は単利」で運用していきます。「なぜ〝いいとこ取り〟ができるのか」は以下の通り。
- 四半期で利益を出せる手法で単利運用する
- 四半期ごとに利益を運用資金に追加して複利運用とする
これは、複利運用のデメリットを軽減する解決策の一つです。
資金管理:ドローダウン時のアカウトの調整
なし
ここは 、ドローダウンを軽減する目的で設定することもあるのですが、最近は「なし」としています。
資金管理:トレードする足種
4時間足
「トレードする足種は資金管理から決まるものなのか?
もしかすると、少し疑問に感じた方もいるかもしれません。
もちろん、手法として「勝ちやすい足種」にするべきですし、ライフスタイルに応じて決める人もいるかもしれません。ボク自身、そういう観点も含めて決定しているのですが、それ以上に「資金管理:複利と単利」との関係が重要だったりします。
- 単利の期間を四半期とするからには、それぞれの四半期の損益をプラス にしなければならない
- トレンドフォローの日足で(できるだけ)利益にするには最低でも1年は必要
- 四半期の損益をプラスにするには、足種を短くする必要がある(取引回数が増える)
単利の期間を決定するにあたって、「その期間を利益にできる見込み」が必要です。
また、トレードが4時間足になると「すべての取引は「ユニット」にもとづいて行う」の「ATR」も同じ足種のものを用いることになります。
上位足のATRを用いるとリスクを低減し、同時にリターンが減ることになります。あとは、あまりに短期の足種でトレードをすると、ATRが急上昇するリスクが増すため注意が必要です。
リスク管理:1取引でとるリスク
4時間足1本: 運用資金の1%
1トレード: 運用資金の2%
これは、『すべての取引は「ユニット」にもとづいて行う』「資金管理:複利と単利」のルールの結果から以下のように定めています。
- すべての取引は「ユニット」にもとづいて行う
- 「ユニット」は、取引量が「1-ATRの価格変動」で「口座残高の1%」になるように設定(口座残高=運用資金)
- 四半期内は単利運用であるため、「口座残高 = 四半期スタート時の口座残高」とする(複利の場合は「口座残高 = その時々の口座残高」となる)
- 1-ATRは4時間足のものを用いる
- 4時間足1本につき四半期スタート時の運用資金の1%のリスクをとっている(ことになる)
- 1取引のリスクは、ロスカットを2-ATRマイナス方向に設定することで四半期スタート時の運用資金の2%のリスクに揃えることができる
リスク管理:全体でとるリスク
1銘柄: 4ユニット
買い: 12ユニット
売り: 12ユニット
強い相関: 6ユニット
中程度の相関: 12ユニット
全体: 24ユニット
「リスク管理 :1取引でとるリスク」で1トレードのリスクを定めましたが、もちろん複数のトレードを同時期に行うことができ、ここではその〝上限〟を定めています。ひとつ補足すると、「1銘柄: 4ユニット」というのは「ピラミッティングができる」ということであって、「1トレードは1ユニットで行う」ことに変わりはありません。
ここに掲載したものは、タートルズとまったく同じ上限です。過去のバックテストでまったく問題がなく、逆にこれより良いものをみつけることができなかったため、同じものを採用しています。
タートルたちは、常時4つのレベルで維持できるユニット数の限度を定めたリスク管理の規則をあたえられた。要するに、これらの規則はトレーダーが負うことができる総リスクを制御するもので、これらの限度は長引く損失期間中および異常な価格変動期間中の損失を最小限にした。
レベル 種類 最大ユニット 1 単一の市場 4 2 密接に相互関連する市場 6 3 ゆるやかに相互関連する市場 10 4 単一の方向、買い持ちまたは売り持ち 12
エントリー
筆者は裁量を取り入れているのですが、理由は「プログラムで表現しきれないところに価値を感じている」「相場に関する経験値をより得られると考えている」等があります。
基本のエントリー
まず、使っているテクニカル指標は以下です。
- 5日指数平滑移動平均線(EMA5)
- EMA20
- EMA40
- EMA120(4時間足の120本は、日足の20本に相当)
- EMA240(日足の40本に相当)
多くの市場参加者が相場を〝1日単位〟で見ているため、「日足は、他の足種にはない〝影響力〟 」を持っています。その日足の動向を確認するために、EMA120とEMA240を表示させています。
これらのEMAを用いた「基本のエントリー」は以下の通りです。
買いエントリー
EMA5 が、他のすべてのEMAよりも上に位置したとき
売りエントリ ー
EMA5 が、他のすべてのEMAよりも下に位置したとき
シンプルで拍子抜けかもしれませんが、本当です。これに、このあと記載する「もみ合い時の調整」が加わるだけです。これだけで、十分、勝てます。
「こんなので勝てるわけないじゃん」と思う人がいたら、その人に対してボクは『この人は「資金管理」と「リスク管理」が上手じゃないんだろうな』と逆に思います。
ちなみに、このエントリーのロジックは以下のバックテストで確認したデータを基に決定したものです。
もうひとつ〝ちなみに〟ですが、移動平均線の複数使いは小次郎講師の「移動平均線大循環分析」が非常に参考になります。オススメです。
もみ合いの対処
トレンドフォローの手法でもっとも重要なのが「もみ合いの対処」です。なぜなら、トレンドフォローがもっとも苦手とするのが「もみ合い」だからです。
筆者は基本のエントリーをフィルタリングするようなことを行っています。すべてのシグナルでエントリーするのではなく、様々な観点から取捨選択し、タイミングを早めたり遅らせたりすることもあります。
自分の中で「ある程度のルール」を持ってやっていることですが、文字に起こすと大変なことになりそうなので、要点だけ以下にまとめてみます。
- もみ合いに入ったら以下のいずれかを待つ
- レンジを〝しっかり〟放れる
- 大きなレンジの、下限の買い、もしくは上限の売りシグナル
- シグナル発生時のローソク足の形が良い
- 直近のプライスアクションが良い(三角持ち合いとか、連続陽線とか、一目均衡表のもみ合い放れのパターンとか)
- 下位足のプライスアクションが良い
- 出来高をともなった値動き
- ボラティリティの増加をともなう値動き
一言で判断するなら、シグナルの有効性を総合的に判断しています。
つまり、「シグナルがでたけど、それが成功するほどの勢いがあるのか」「買い方と売り方の攻防の結果、シグナルの方向に偏っているのか」みたいなことを考えています。
「もみ合い」って、日頃なにげなく判断していると思うのですが、実はこれをプログラムに起こそうと思うとけっこう大変です。色々試したこともありますが、正直、満足がいくほど有効なものを見つけられていません。なので、そういうものを〝追求しながらの日々のトレード〟であって、そういう〝経験値〟を求めていたりします。
こんなことを考えながらトレードをしていたら、良いインジケーターや法則の発見、ひらめき があるんじゃないかと期待しています。みつかるとは限らないですが、自動売買にしてしまうと、チャートの形をしっかり確認することができませんし、インジケーターの有効性を数値でしか確認できないので。
もちろん、数値で確認することは非常に大切で、それはそれで重要だと考えていますが。
ピラミッティング
ピラミッティングは以前ほど重要視していません。
以下のように、「タイミングがあれば行う」程度のものです。
ある銘柄をエントリーしたあとに、再度エントリーのシグナルが点灯した場合
なので、特定の銘柄を4ユニットまでピラミッティングすることは、ほぼ〝ない〟ですね。
イグジット
エントリーって、実はけっこう簡単なんですよ。シグナルがでた直後の値動きだけで考えたら、シグナル通りに動くことの方が多いくらいです。ただ、トレンドにノイズがあったり、すぐにトレンドが終わってしまったりするから難しいんですね。
つまり、エントリーよりも**〝イグジットの方が難しい〟**と、ボクは考えています。
ロスカット
2-ATR
ロスカットラインは、エントリーからマイナス方向に〝2-ATR〟の価格に設定しています。
以前は、2.5-ATR や 3-ATR などを試したことがあるのですが、以下のバックテストを経て今の〝2-ATR〟に落ち着きました。
基本の決済
基本の決済:EMA5とEMA40のクロスを確認したら
これによって、「トレンドを伸ばしたあとの利益確定」や「早めの損切り」を実現します。
トレンドの長さやプライスアクションなどによって、決済のタイミングを調整することもあります。
この決済では〝大きなトレンド〟を狙っているので、「一時的にシグナル通りに推移した価格が、早々に反転して損切り」なんてことがよく起こりますが、まったく気にしません。 なぜなら、最終的にトータルで勝てる自信があるから です。
ちなみに「基本の決済」のスキームも、以下のバックテストの結果から採用したものです。
トレーリングストップ
なし
現在、トレーリングストップは行なっていません。トレーリングストップは各銘柄のノイズ幅を見極める必要があり、そのスキームを確立できていないことから、行なっていません。「中途半端にトレーリングストップを導入するくらいなら〝なし〟の方が良い」というのが、今のところのボクの結論です。まだまだ研究が必要です。
ちなみに、この結論に至ったのが以下のバックテストです。
その他
さて、ここには「トレードルールの補足」を記載したいと思います。
「資金管理」「リスク管理」「エントリー」「イグジット」以外にも重要なことはたくさんあり、投資においては「その他」のこともけっこう大事です。
というか、最終的に「投資において重要じゃない」ことなんて存在しないと思います。
この手法のコンセプト
まずは、この手法のコンセプトです。
ここを履き違えると、この手法が「使い物になんねえな」なんて評価になりかねないので、ここはしっかり書いておこうと思います。
中長期のトレンドフォロー
オーバーナイトやオーバーウィークなんて、まったくもって〝へっちゃら〟で、長ければ1~2ヶ月ポジションを保有し続けることもあります。ここの認識がズレると〝手法の良し悪し〟の判断が狂います。〝多くの人 が怖くてできない〟トレードをしていると思っています。
勝率よりもリスクリワード比率(RR)重視
つまり、損小利大。勝率は30%でも良いと考えています。そのかわり、RRは、3とか4とか、5とか6とか、そのあたりを狙っています。
1回の夢のようなトレードより、回数を重ねて確実に勝つ
〝1回の夢のようなトレード〟は長続きしない上に、再現することもできません。統計学に基づいて、回数を重ねて、トータルで必ず勝つ――そんなトレードを目指しています。
トレードの流れ
最近は、以下の流れでトレードをしています。
朝
- 前日の値動きを受けて残高を確認、記録
- 最新のATR(4時間足)の確認と入力
- 銘柄ごとの当面の戦 略を確認(こうなったらこうしよう)
日中
- (おおよそ)4時間に一度、チャートを確認
- シグナルがでればエントリーと記録(同時にロスカットラインの設定を必ず)
- シグナルがでれば決済と記録(ロスカットが入っていた場合はその記録)
- シグナルがでそうなところはすぐに判断できるように印をつけておく
都度
- あまりにも異常な展開があればルールを見直す
- 利益がでているときは残高を確認(うれしい)
- 損失がでているときはあまり見ないように(ルール通りにやる)
四半期
- 所定の日の残高を四半期の元金とする(期間ごとの複利、期間内の単利)
- 元金の入出金(期の途中での資金の追加や出金は良くない)
- ルールの変更(期の途中でのルール変更はあまり良くない)
大体こんな感じです。やってることは意外とシンプルです。
取引する銘柄
現在、トレードの対象銘柄は次の通りです。
為替
USDJPY、EURUSD、GBPUSD、AUDUSD、CHFUSD、CADUSD
株価指数
Nikkei225
海外商品
Gold、Platinum、Palladium、Crude Oil、Corn
できるだけ市場規模が大きく流動性のある銘柄を取引するようにしています。CFDになってしまうと意味がなかったりしますが、それでもできる限り、そういう銘柄が良いですね。
どんなに夢があっても、しばらく仮想通貨に手を出すつもりはありません。やるとしても、ここに掲載したルールではないですね。
使っている取引会社とツール
ボクが使っている取引会社とツールをご紹介します。そんなに特別なものは使っていません。
取引会社 | サクソバンク証券 |
チャート | TradingView |
トレードの管理 | Googleシート |
バックテスト | Google Corabolatory |
サクソバンクさんは取扱銘柄が非常に多い上に、口座をわける必要もないため、非常に重宝しています。取引会社をわけてトレードするのは、取引にも送金にも手数ばかりかかってしまうので避けています。その手間がもったいない。短期トレードでもないので手数料もさほど気にしていません。
チャートツールはTradingViewの有料プランを使っています。ありとあらゆる市場の価格を表示することができて、デザイン、カスタマイズ、操作性など、すべてにおいて使いやすいチャートツールです。使うなら有料アカウントで複数のチャートを1画面に表示するのがオススメ。
心構え
あるトレンドフォローの言葉です。
小さく数多く負けよ。
しかも平然と。相場が逆方向に行ったらすぐ損切れ。
将来また上がりそうでもためらわずに損切れ。相場で利が乗ったら、絶対利食うな。
そのうち利がはげて損に変わったらすぐ損切れ。あの時切っていたら利益だったのになあなどと言うやつはみんな負け組。平然と損切れ。
そうやって山のような損切りをした後に、
気がつけば、とことん利益が乗っている玉が育つ。
この精神、すごく大事です。
おまけ:資金管理の検証用シート
このシートで検証すると、資金管理がよく分かります。
- 5つの資金管理のパターン
- 定率(複利)2% 運用
- 定額(単利)2% 運用
- ランダム運用(リスクのとり方がチグハグ運用)
- 一定期間(回数)の複利運用
- 定率2%の進化系(一定期間〈回数〉の複利運用+タートルズの資金管理)
- マーチンゲール
- 逆マーチン
- 資金管理の肌感覚を掴むことができる
- 自分の思い通りの資金管理を検証できる
- ランダム関数をつかった検証方法がわかるから、資金管理以外の検証にも活かせる(かも)
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