テクニカル分析:ATR(Average True Range)
どんな市場でも使える資金管理とリスク管理――

テクニカル分析:ATR(Average True Range)</br>どんな市場でも使える資金管理とリスク管理――
投資をしていてATRを知らないという人はどれくらいいるんでしょうか。もし僕が誰かに投資を教えるとしたら、移動平均線やほかのどんなテクニカル分析よりも先にこのATRを教えると思います。そしてこのATRを覚えていないうちは一切トレードはさせません。僕はそれくらい重要だと思っています。

テクニカル分析:ATR(Average True Range)

  1. ATRとは
  2. その意味と使いどころ
  3. 実際に使ってみる
  4. まとめ

1.ATRとは

ATRを端的に説明するなら「平均的な1日の最大変動幅を表すテクニカル分析――」といったところでしょうか。それがどのように投資の役にたつのか。そしてなぜ1番重要だと考えているのか。順を追って解説していこうと思います。
まずは開発者について。

開発者

  • J・ウエルズ・ワイルダー・ジュニア(J. Welles Wilder Jr.)
  • 1978年に発売された「ワイルダーのテクニカル分析入門(amazonへ)」で初めて紹介された(和訳版は2002年発売)
  • ATRのほかにパラボリックやDMI、ピボットなど数々のテクニカル分析を生み出している

すごい方ですね。
きっと朝から晩まで投資のことを考えていたんでしょうね!

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2.その意味と使いどころ

テクニカル分析を使うときは、その意味をしっかり理解して使う必要があります。
そうでないと「効果が半減」どころか「逆効果」になることだってありますから。

ATRの意味

ということで、まずはATRの計算式を。

ATRの計算式

  • ATR(Average True Range)= TR(True Range)の一定期間における平均値
  • TR(True Range)以下の3つの差の中で最大のもの
    • 当日高値 − 当日安値
    • 当日高値 − 前日終値
    • 前日終値 − 当日安値
  • 平均値は単純平均ではなく指数平滑平均を使用する(単純平均でも可)
    • ATR = (20 × 前日のATR + TR)/ 21 (これは20日ATRの場合)
161023-atr

めちゃくちゃ簡単ですよね!
これは「1日の最大変動幅(TR)を一定期間で平均したもの」です。その銘柄の平均的な最大変動幅であるから、あるときは見込み利益であり、見込みリスクであり、ボラティリティを表しているともいえます。

ATRの使いどころ

僕が知っているのは次の2つです。ほかにご存知の方がいれば教えていただきたい、ぜひ!

ATRの使用方法

  • 資金管理・リスク管理:ATRがその銘柄の見込み利益・リスクを表わしていることから、資金管理・リスク管理にATRを組み込むことで、どんな市場のどんな銘柄どんな銘柄でも同じように扱うことができるようになる。
  • エントリーシグナル:一定期間の移動平均線をもとにATRを加算・減算したバンドとして利用する。バンドを超えたらエントリー。そうすることでボラティリティを取り入れたシグナルになる。

この記事では主に資金管理・リスク管理について解説します。エントリーシグナルについてはいつかバックテストで検証する予定。

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3.実際に使ってみる

さあ、実践編!
「ATRを使うとこういう資金管理ができるよ!」という1例を――。

検証する銘柄(取引単位|仮のある日のATR)

  • 米ドル/円(1000通貨|1円)
  • ユーロ/米ドル(1000通貨|0.01ドル)
  • 日経平均(100倍|200円)
  • NYダウ(1倍|150ドル)
  • WTI原油(25バレル|1.5ドル)

次の計算式で1回の取引量を算出することができます。

投資金の1% /〔取引単位 × ATR(× 為替レート)〕(為替レートは基軸が円以外の銘柄の場合)

計算すると次のような結果になります。(ここでは投資金を100万円、現在の米ドル/円のレートが100円であるとする)

各銘柄の取引量

  • 米ドル/円: 10000円 /(1000通貨 ×1円)= 10枚
  • ユーロ/米ドル: 10000円 /(1000通貨 × 0.01ドル × 100円)= 10枚
  • 日経平均: 10000円 /(100倍 × 200円)= 0.5枚
  • NYダウ: 10000円 /(1倍 × 150円 × 100円)≒ 0.67枚
  • WTI原油: 10000円 /(25バレル × 1.5ドル × 100円)≒ 2.67枚

どうでしょうか。
正直これだけじゃ意味わからないですよね…! 「ほら、こうすると取引量が算出できるでしょう!」といわれてもまったくピンとこないと思います。果たしてこの取引量にどんな意味があるのか――。

そこで次のように、
「これらの取引量でATRとおなじだけ価格が動いたときのこと――」を考えてみると納得してもらえると思います!

それぞれの取引量で1ATR分、プラス方向に価格が動くと

ATR × 算出した取引量 × 取引単位(× 為替レート)

  • 米ドル/円: 1円 × 10枚 × 1000通貨 = 10000円
  • ユーロ/米ドル: 0.01ドル × 10枚 × 1000通貨 × 100円 = 10000円
  • 日経平均: 200円 × 0.5枚 × 100倍 = 10000円
  • NYダウ: 150ドル × 0.67枚 × 1倍 × 100円 = 10050円
  • WTI原油: 1.5ドル × 2.67枚 × 25バレル × 100円 ≒ 10013円

見事に投資金(100万円)の1%になっています!
ATRを利用することでどんな銘柄でも一定の見込みリスク・見込み利益に揃えることができるんです。

ちなみに、NYダウは1回の取引量が0.67となっていますので、「資金が100万円で1日のリスクを1%に抑えたいという方はトレードできませんよ」ということですね。

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4.まとめ

補足ですが、
仮にNYダウとWTI原油を算出された取引量に近い数字で取引すると次のような結果になります。

  • NYダウ(150ドル): 150ドル × 1枚 × 1倍 × 100円 = 15000円
  • WTI原油(1.5ドル): 1.5ドル × 3枚 × 25バレル × 100円 = 11250円

ちょっとリスクが高くなります。こういうことがわかるようになるんです。トレードをするうえでこれは大変重要なことです。何度もいいますがもっとも重要なことだと考えています。自分のトレードのリスクを測れていない状態トレードトレードはするべきじゃないです。
また、取引量を「1日あたり投資金の1%のリスク・利益」に揃えることで一気にトレードやストラテジー(戦略)の分析、検証の幅が広がります。

実際の使用方法として解説した箇所は「タートル流 投資の魔術(amazonへ)」のボーナス章「タートル流トレーディング規則原本」にも掲載されています。

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