どんな記事
35年間のUSDJPYのバックテストを比較・検証してみます。変えたのはエントリー。MACDとHL20(20日ブレイクアウト)というわずかな違いでも、結果には大きな違いが出てきました。
2016年8月9日 追記・修正
HL20のバックテストに誤りがあったため修正しました。
当初、HL20の方が成績が良くないという内容だったものが、さらに悪い成績になりました。この誤りに伴った画像の修正は行いません。
今回の修正では、HL20の勝率は大きく変わりなく、RRに変化が見られました。
価格とシグナル、資金の推移
35年分やりました。まとめると、こういう結果です。
だけでは見えないものが多くあります。 むしろ、価格とシグナル、資金の推移を並べて確認していく工程にこそ、学びが多くありました。
さて、筆者がやるバックテストは、全て筆者自身のトレード手法に関するものです。
僕のトレードの総合的な成績を測ることと、僕のトレードの手法のブラッシュアップのためにやってます。
独学なので一般的なノウハウとはかけ離れたことをしているかも知れません。「これはこうした方が良いよ」ということを教えてくださる心優しい方がいましたら、どしどしご意見ください。待ってます!
1981
値段は1980年からですが、実際にシグナルが出始めるのは、EMA300の数値が算出されはじめる1981年の3月頃からです。1981年から34年分、順を追って見ていきます。
※ 手違いで、、元金が100万円と50万円スタートとなっています。まとめに出しているCAGR等には影響ない(はず)です。
※ 利益の幅の違いは、資金に応じた取引量の調整によるものです(場合によってはピラミッティングも)。
MACDは100万円、HL20は50万円で検証スタート。当然ですが、短期のMACDの方がエントリーが多いのが分かると思います。しかも、この年に関しては裏目に出ています。
1982
1982年は良い上昇トレンドの年ですね。トレンド期のエントリーは、MACDもHL20も大差が内容に見えます。利益の幅の違いは資金量によるサイズの違いによるものですが、MACDの方がエントリーが早く利益も多少大きくなっているように見えます。
1983
1983年は保ち合いが多い年ですね。MACDの余計なエントリーが際立っているように見えます。HL20は保ち合い期のリスクを軽減出来ているようです。
1984
1985
1985年は年初の上昇トレンドと9月以降の下降トレンドで大きく利益をあげています。MACDは250万円が600万円、HL20は100万円が450万円になっています。とっているリスクは2~5%ですが、トレンドに乗ると大きく利益を伸ばすことができます。
1985年時点でのCAGR
MACD:60.2%
HL20:70.56%
1986
1986年はさらに良いトレンドですね!どちらも大きく利益を伸ばしています。
1987
1987年も年間を通してのトレンド相場。資金は2000万円を超えています。
1988
1988年は前半が保ち合い、9月以降にトレンド相場です。保ち合いでのリスクを抑えて、トレンドのリターンをしっかりとっています。すでに2億を超えていますね( ゚д゚)ハッ! ここで、50万円スタートのHL20はMACDにほぼ追いつきました。
1989
1989年も上昇トレンド。EMA300と50が好転した5月6月頃にエントリーしています。
1990
1990年は上昇相場から下降相場への過渡期ですね。こういう地合いでは、資金がジリジリと減って行きます。ここでHL20がMACDを抜きました。資金は10億に。
1990年時点でのCAGR
MACD:114.94%
HL20:138.28%
1991
※目盛りは24億円
1992
※目盛りは60億円
「このグラフはおかしい!何だろう」と、思ったのですが、何も間違いはありませんでした。資金量の違いとエントリー・イグジットのタイミング、それによるピラミッティングの有無などが重なった結果です。「ホントか?」と思う方は、下部のfusion tables から、ぜひご覧ください。ホントです。
1993
※目盛りは200億円
この辺りは、ホントにもう単純に、資金量の違いです。資金がある人が強い、純粋なトレンド相場であればあるほどですね。
1994
※目盛りは400億円
1995
※目盛りは500億円
91年から95年まで、怒涛のトレンドでした。「MACDの方が成績良くないなあ」なんて思った方、CAGRが9割っていうのはとんでもない数字なんですよ。15年間、毎年資金がほぼ倍になっているってことですから。笑えてくるくらいすごい数字です。。
1995年時点でのCAGR
MACD:90.19%
HL20:122.19%
1996
※目盛りは600億円
1996年も大きく見ればトレンドがあるのですが、これくらい上下に振れるとトレンドフォローで捕まえにくくなってきます。あまり利益があがっていません。
1997
※目盛りは1000億円
1980年代から90年代前半にかけて、とんでもない利益があがっていましたが、本来はこれくらいの利益を想定しています。
1998
※目盛りは1000億円
1999
※目盛りは1000億円
2000
※目盛りは1000億円
この5年間は利益の幅がかなり減りました。が、これくらいが普通です。年間通して利益が出るトレンドなんていうのはリーマン・ショックくらいなもんで、そうそうたくさんあるものではありませんね。
2000年時点でのCAGR
MACD:69.1%
HL20:86.11%
2001
※目盛りは1200億円
2002
※目盛りは1600億円
2003
これくらいのレンジになると、HL20よりも、MACDの方が得意ですね。MACDの方がエントリーが早い分、HL20ではマイナスの局面でもMACDはプラスになっています。
※目盛りは1600億円
2004
※目盛りは1600億円
2005
※目盛りは2000億円
CAGRがかなり下がってきました。このくらいの数値でも十分ではありますが、ここ10年くらいの値動きは少し落ち着いた感じですね。
2005年時点でのCAGR
MACD:58.84%
HL20:69.25%
2006
※目盛りは2000億円
2006年頃から、少し値動きの感じが変わって、ボラティリティが大きくなります。これくらい幅のある保ち合いはHL20は非常に苦手なようです。少しずつ利益を削られて、MACDの損益に近づきつつあります。
2007
※目盛りは1600億円
2008
※目盛りは3000億円
そして、リーマン・ショックがきました。どちらも一気に利益を伸ばしていますね。はっきりしたトレンドには、同じように強い。
2009
※目盛りは3000億円
HL20は、やはりボラティリティの大きい保ち合いにやられます。MACDと比較すると、かなり資金を削られています。
2010
※目盛りは3000億円
2010年の後半は、MACDのエントリーの速さが目立っているように見えます。
2010年時点でのCAGR
MACD:52.51%
HL20:57.40%
2011
※目盛りは3000億円
HL20が随分と削られています。HL20の苦手な値動きが続いています。
2012
※目盛りは2400億円
2012年の前半はMACDの苦手な値動きです。そして、アベノミクス。後にトレンドが来るのなら、エントリーの早いMACDに軍配が上がります(例外あり)。
2013
※目盛りは4000億円
アベノミクスの第2波でもMACDに軍配が上がっていますね。ここでMACDがHL20を抜きました。
2014
※目盛りは8000億円
ここでもMACDに軍配があがります。
2015
※目盛りは7200億円
最後の2015年です。半分の資金でスタートしたHL20。負けじと大きくMACDを抜き去りましたが、最終的にはMACDに抜き返される展開で終わりました。
2015年時点でのCAGR
MACD:48.15%
HL20:49.86%
成績のまとめと考察
HL20 | MACD | ||
---|---|---|---|
start | 50万円 | start | 100万円 |
損益 | +656億64万円 | 損益 | +6188億8253万円 |
最大DD% | 42.84% | 最大DD | 45.21% |
最大DD期間 | 40ヶ月 | 最大DD期間 | 23ヶ月 |
win | +1378億8941万円 | win | +9722億1435万円 |
loss | ▲722億7769万円 | loss | ▲3468億495万円 |
勝率 | 47.6% | 勝率 | 47.3% |
RR比率 | 2.10 | RR比率 | 3.12 |
破産の確率 | 0.00% | 破産の確率 | 0.00% |
CAGR% | 40.98% | CAGR | 48.15% |
MAR比率 | 0.96 | MAR比率 | 1.07 |
さて、ここまで1年ごとの値動きと損益の推移を並べてみてきました。どちらもトレンドはしっかり取りますね。
トレンドがしっかり取れるという点に関してはどちらも共通ですが、若干、MACDに軍配が上がるといったところでしょうか。それぞれの戦略通り、トレンド以外の場面で、大きく差が出る結果になったように思います。
HL20はボラティリティの低い素直な値動きに強く、MACDは一定以上のボラティリティがないと、その力の発揮が難しいように感じます。特に、ここ数年はボラティリティが高い傾向があり、MACDに軍配が上がりやすい相場付きなのではないでしょうか。
バックテストの概要
テクニカル分析、資金管理などについてさらっと触れます。詳細な解説はまた別の機会に。
対象銘柄
今回は「USDJPY」を対象としています。1000ドルごとの取引で、元金はHL20が50万円、MACDが100万円で計算しています。
テクニカル分析
テクニカル分析は売買サインや資金管理含めて以下のものを使用しています。
EMA300 300日指数平滑移動平均線
EMA50 50日指数平滑移動平均線
MACD6-19-9 | HL20
ATR20
HL10(過去10営業日の高値安値)
みたことあるものがほとんどだと思います。奇をてらったものはあまり使いません。
300日と50日のEMAをフィルターにします。50日が300日より上のときはMACD(HL20)の買いエントリーのみ、逆に50日が300日より下のときはMACD(HL20)の売りエントリーのみとします。
資金とリスクの管理
資金管理とリスク管理は次のとおりです。
資金管理
1N = 投資金の1% = その日の20日ATRの値幅
エントリーは1Nずつ。最大で4Nまで。
最初のエントリー後「N/2」プラス方向に動いたら1N追加。そこからさらに「N/2」動いたら、もう1N追加。
バックテストの中では、それぞれ1u、2u、3u、fullとしている。リスク管理
損切り : 最初のエントリーから「2N(ATR20 × 2)」マイナス方向に動いたら損切りとする。
その後2N、3Nと増えるごとに、すべてのポジションの損切りを「N/2(ATR20の半分)」ずつ上げて行く。利益確定 : 4Nのエントリー時の損切りラインより、過去10日の最高(安)値が有利な方向に動いたら、それを決済のラインとする。
1Nを投資金の1%とします。たとえば100万円の投資金であれば、1Nでもてるポジションは想定リスク1万円で収まるサイズにします。たとえばATR20が1.5円とすると、1万円 / 1000通貨 / 1.5円 で1N =6(6.66)枚 となります。
測定方法
googleシートを使用。ひたすら関数で計算させています。Excelなんかの関数は他のプログラムと違って、もっともらしい間違いが多いので注意が必要です。
やむなく目をつむっている点
本来であれば、日々、もしくは週ごとの損益にあわせて随時サイジングをするのですが、今回はエントリー時のサイジングのみです。ホントは利益が出ているときはもっとサイズを大きく、損失が出ているときはサイズを小さくしていきます。あとは、他の銘柄との相関。これも含めて検証したいのですが、なかなか大変なので保留しています。
まとめの詳細なデータはこちらから
詳細なデータはgoogleのfusion tablesを用意しました。グラフや価格データ、テクニカルやシグナルの計算結果などを、フィルターをかけながら見ることができます。
タカハシ / 8年目の兼業トレーダー
元・日本料理の板前。現在は、投資やプログラミング、動画コンテンツの撮影・制作・編集などを。更新のお知らせは、各SNSやLINEで。LINEだと1対1でお話することもできます!
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