10年前に本で「勝てる」とされたトレード手法の「その後」をバックテストする

10年前に本で「勝てる」とされたトレード手法の「その後」をバックテストする

この記事では、「少なくとも20年間は実際に "勝てた" であろう投資のやり方」を知ることができます。

・10年前に本で有効とされていた手法
・その後の約10年の値動きで検証する
・もし良い結果がでるなら、この先の10年も通用するかもしれない

というのが、この記事のテーマです!

10年以上も前に「利益が出る」と紹介された手法が、現在でも通用するのか

この記事は、2007年10月に出版された「伝説のトレーダー集団 タートルズ流投資の魔術」に掲載されている手法を、TradingView で再現した記事の "まとめ" にあたるものです。

  1. ATRチャネル・ブレイクアウト
  2. ボリンジャー・ブレイクアウト
  3. ドンチアン・トレンド・システム
  4. 時限退出付きドンチアン・トレンド
  5. ダブル移動平均
  6. トリプル移動平均

10年前に本で「勝てる」とされたトレード手法の「その後」をバックテストしてみた

  1. タートルズ流 投資の魔術 からの引用
    1. 10年前(1996年1月~2006年11月)の検証結果
  2. その後(2005年~2017年)の検証結果
  3. 結果:すべての手法で「勝てた」
  4. 比較する上での「注意点」
  5. 微妙な「変化」はある
    1. 「取引回数」は同じ傾向
    2. 「勝率」はすこし傾向が異なる
    3. 「収益」を(むりやり)比較してみる
  6. 「長期で勝つ」ための手法は、これから先も変わらない

1.タートルズ流 投資の魔術 からの引用

もととなる手法は、投資本「伝説のトレーダー集団 タートルズ流投資の魔術」に掲載されていたものです。この本では、6つの手法を以下の条件でバックテストしています。(情報が不十分でわからない点も多いですが・・・)

 この章で述べるテストは、市場の一般的ボートフォリオと一般的資金管理アルゴリズムを用い、システムのルールが変わることによる影響がテスト結果の差異にあらわれることを検証している。以下はそのテストに使われた変数だ。

 ● 市場

 オーストラリアドル、英ポンド、とうもろこし、ココア、カナダドル、原油、綿、ユーロ、ユーロダラー、飼養牛、金、銅、灯油、無鉛ガソリン、日本円、コーヒー、牛、豚、メキシコペソ、天然ガス、大豆、砂糖、スイスフラン、銀、財務省中期債権、同長期債権、小麦。以上がテストを行うポートフォリオに含まれる市場である。
 これらの市場は流動性の高い(出来高の多い)アメリカ市場から選ばれた。

 ● 資金管理

 ここで使う資金管理アルゴリズムはタートルたちが使用したのと同じだが、攻撃性を半分にした数値を用いてある。1-ATRを取引資本の1パーセントとするかわりに0.5パーセントとしたので、テスト向けの枚数を出すために、資金の0.5パーセントを、特定の取引に注文が出される時点でドル換算した市場のATRで割った。

引用元
伝説のトレーダー集団 タートルズ流投資の魔術(P.164)

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1-1.10年前(1996年1月~2006年11月)の検証結果

本に掲載されている検証結果は以下です。

システム CAGR (%) MARレシオ シャープレシオ 取引数 勝率 (%) 最大DD (%) DD期間 (月)
ATR CBO 45.9 1.15 1.27 216 43.1 40 8.3
ボリンジャーCBO 49.2 1.44 1.47 136 53.7 34.1 7.8
ドンチアン・トレンド 27.4 0.75 0.94 1901 38.7 38.7 27.6
時限付ドンチアン 57.1 1.31 1.34 773 59.1 43.6 12.1
ダブル移動平均 49.1 1.04 1.34 222 36.9 47.2 8.3
トリプル移動平均 41.2 0.97 1.21 186 41.9 42.3 8.5
引用元
伝説のトレーダー集団 タートルズ流投資の魔術(P.177)

CAGR (%) というのは、以前このブログでも紹介した「年平均成長率」のことです。簡単に言うと、「複利で年利何パーセントだったの?」ということがわかります。掲載されている項目の中で、「収益をストレートに表す数値」にあたります。

本当は「リスクリワード比」が掲載されていると、TradingView で行うテストと近い条件で比較できたのですが、ありませんでした。残念。

複利を活かす#3: 投資の ”目標利益” から ”複利の利率と期間” を逆算する

株式投資やFXで100万円を10年で2000万円にすることを目標としたときに、1年の平均利率がどれくらいあれば達成できるのか――。これを年平均成長率といいますが、この計算方法を解説します。

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2.その後(2005年~2017年)の検証結果

次に、あらたに TradingView でバックテストをした結果です。各バックテストの詳細は過去の記事をご覧ください。(システム名が各記事へのリンクになっています)

システム 取引数 勝数 勝率 RR比 破産の確率 期待値 利益見込み
ATR CBO 383 113 29.50% 4.089 0.01% 0.501 192.045
ボリンジャーCBO 159 73 45.91% 2.95 0.00% 0.814 129.372
ドンチアン・トレンド 2,043 773 37.84% 2.199 0.01% 0.21 429.875
時限付ドンチアン 848 447 52.71% 1.237 0.00% 0.179 152.116
ダブル移動平均線 315 91 28.89% 3.361 0.07% 0.26 81.835
トリプル移動平均線 182 76 41.76% 2.044 0.00% 0.271 49.311

このバックテストは、以下の条件で行ったものです。

「異なる銘柄でも勝てるものか」「市場が変わっても勝てるものか」あたりを確認したいと考えて、あえて異なる銘柄でバックテストしています。

  • 期間

    • 2005年1月1日 ~ 2017年12月31日
    • 12年間
  • 銘柄

    • 為替(5):USDJPY、EURJPY、GBPJPY、CHFJPY、CADJPY
    • 株価指数(5):UKY日経225、DJI NYダウ、DAXドイツ、UKXイギリスFTSE、HSI香港ハンセン
    • 日本株(5):6098リクルート、4452花王、5711三菱マテリアル、7201日産、9984ソフトバンクグループ
    • 米株(5):AAPLアップル、AXPアメリカン・エクスプレス、BAボーイング、JNJジョンソン・エンド・ジョンソン、MCDマクドナルド
    • 海外商品(5):金、白金、原油、コーン、大豆
  • その他

    • 資金管理:単利

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3.結果:すべての手法で「勝てた」

まずは、すべての手法で「その後の約10年の値動き」でも勝てたことを確認しましょう。

システム 破産の確率 期待値 利益見込み
ATR CBO 0.01% 0.501 192.045
ボリンジャーCBO 0.00% 0.814 129.372
ドンチアン・トレンド 0.01% 0.21 429.875
時限付ドンチアン 0.00% 0.179 152.116
ダブル移動平均線 0.07% 0.26 81.835
トリプル移動平均線 0.00% 0.271 49.311

「破産の確率」が問題ない水準で、なおかつ「期待値」もプラス。その後(本に掲載された後の約10年)の値動きでも "勝てた" 手法であるということが分かります。「期待値」がプラスなので、「期待値 ✕ 取引回数」で算出される「利益見込み」もプラスです。

※ 勝てる手法であっても、無計画に取引すれば「あっという間に破産」してしまいます。ご注意ください。

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4.比較する上での「注意点」

ここからは「10年前」と、今回検証した「その後」のバックテスト結果を比較していきますが、いくつか注意点があります。

資金管理の有無

  • 「10年前」のテストは、資金管理などを(おそらく分散投資も)含めたものである
  • 「その後」のテストは TradingView で簡易的に行ったもので、資金管理などが含まれていない

(本に掲載されている)「10年前」のテストには、以下の記述があります。

 この章で述べるテストは、市場の一般的ボートフォリオと一般的資金管理アルゴリズムを用い、システムのルールが変わることによる影響がテスト結果の差異にあらわれることを検証している。

「資金管理アルゴリズム」は、おそらく「ATRを用いたサイジング」のことを指していると思われます。なので、取引量の調節がされるバックテストであると考えられます。「分散投資」については、「一般的ポートフォリオ」が何を指しているのかによるのですが、これ以上の記述がないのでわかりません。

とはいえ、「おそらく『勝てる』という結果が大きく変わることはない」と考えています。これは、過去に行ってきたバックテストからくる経験則です。いくつか根拠はありますが、長くなるので今回は割愛します。

そもそも、比較している銘柄が違う

「10年前」のバックテストの対象銘柄は以下の27銘柄でした。

 オーストラリアドル、英ポンド、とうもろこし、ココア、カナダドル、原油、綿、ユーロ、ユーロダラー、飼養牛、金、銅、灯油、無鉛ガソリン、日本円、コーヒー、牛、豚、メキシコペソ、天然ガス、大豆、砂糖、スイスフラン、銀、財務省中期債権、同長期債権、小麦。以上がテストを行うポートフォリオに含まれる市場である。

対して、あらたに行った「その後」のバックテストの対象銘柄は以下の25銘柄です。

  • 為替(5):USDJPY、EURJPY、GBPJPY、CHFJPY、CADJPY
  • 株価指数(5):UKY日経225、DJI NYダウ、DAXドイツ、UKXイギリスFTSE、HSI香港ハンセン
  • 日本株(5):6098リクルート、4452花王、5711三菱マテリアル、7201日産、9984ソフトバンクグループ
  • 米株(5):AAPLアップル、AXPアメリカン・エクスプレス、BAボーイング、JNJジョンソン・エンド・ジョンソン、MCDマクドナルド
  • 海外商品(5):金、白金、原油、コーン、大豆

銘柄が違うということは、同じ条件で比較できていないということです。本来は、期間以外の項目をまったく同じ条件にして比較するべきです。一方で、「銘柄が違うのに勝てている」ということは「異なる銘柄群でも勝てる手法である」とポジティブに捉えることもできます。

いずれにしても、「これらの注意点を知らずに鵜呑みにする」ということが問題になります。注意点を把握して確認していくことで、(本当は理想的な比較が良いですが)一定の成果を得ることができると思います。

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5.微妙な「変化」はある

「変化」というか、微妙な「成果の違い」がありました。

5-1.「取引回数」は同じ傾向

以下に、「10年前」と今回検証した「その後」をまとめました。並べて比較すると、以下のようなことがみえてきます。

システム 10年前 その後
ATR CBO 216 383
ボリンジャーCBO 136 159
ドンチアン・トレンド 1,901 2,043
時限付ドンチアン 773 848
ダブル移動平均 222 315
トリプル移動平均 186 182
  • 「取引回数」が同じ傾向 → 手法が再現できている
  • 長期・中期・短期の手法の取引回数が大きく変化することはなさそう
  • 銘柄数の割に「本掲載」の方が少ない → 分散投資しているかも

「10年前」は27銘柄で「その後」が25銘柄。「10年前」の方が多いのに、すべての手法で取引回数が少ないこと考えると分散投資を含めたバックテストであったと考えられます。

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5-2.「勝率」はすこし傾向が異なる

システム 10年前 その後
ATR CBO 43.1 29.5
ボリンジャーCBO 53.7 45.9
ドンチアン・トレンド 38.7 37.8
時限付ドンチアン 59.1 52.7
ダブル移動平均 36.9 28.9
トリプル移動平均 41.9 41.8

「勝率」は、以下のような違いが生じています。

  1. 「ATR CBO」「ボリンジャーCBO」「ダブル移動平均」の勝率が落ちた
  2. すべての手法で「本掲載」の方が勝率が良い

②については、いくつか可能性が考えられます。

  • 「10年前」は分散投資されていたものと考えられ、それがプラスに作用した
  • テスト期間の違いによって相場の環境が変わった

そもそも、手法の良し悪しは「勝率」だけで測れるものではなく「リスクリワード比率」とのバランスで決まります。なんとも結論づけられないのが正直なところです。

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5-3.「収益」を(むりやり)比較してみる

システム
 
10年前
CAGR
その後
利益見込み
ATR CBO 45.9 192.045
ボリンジャーCBO 49.2 129.372
ドンチアン・トレンド 27.4 429.875
時限付ドンチアン 57.1 152.116
ダブル移動平均 49.1 81.835
トリプル移動平均 41.2 40.311

投資家がもとめる「収益」について、違う項目でむりやり比較してみます。「CAGR」と「利益見込み」は、表現の仕方は違うものの最終的な「収益」を表している項目です。

  • CAGR:年平均成長率。複利で年利何パーセントだったのか。
  • 利益見込み:期待値 ✕ 取引回数 で算出

これを、良いものから並べると、優劣が様変わりしていることが分かります。

  • 10年前:時限付ドンチアン、ボリンジャーCBO、ダブル移動平均、ATR CBO、トリプル移動平均、ドンチアン・トレンド
  • その後:ドンチアン・トレンド、ATR CBO、時限付ドンチアン、ボリンジャーCBO、ダブル移動平均、トリプル移動平均

さて、なぜこんなにも違いが生じたのでしょうか?

残念ながら、これも「材料不足でわからない」というのが正直なところです。さらに追求していくとしたら、条件をそろえて「『10年前』の期間と銘柄」のバックテストを TradingView で行ってみるしかないでしょう。(ボク自身の目的は達したのでやりませんが)

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6.「長期で勝つ」ための手法は、これから先も変わらない

ここ数年のバックテストを通しての仮説ですが、「長期的に勝つ」ということを目的とするなら、手法は、これまでもこれから先も、大きく変わらない気がしています。

  1. 「短期的な値動き」の傾向は、「アルゴの出現」や「市場参加者の増加」などで変わっていると思う
  2. つまり、「短期的な値動き」に依存する手法は様変わりしやすい
  3. 長期的な値動き」の傾向は変わっていないように感じる
  4. 大きなトレンドを掴むことを徹底すれば勝てる

まとめるなら、こんな感じでしょうか。

流動性のある市場で取引をしていることが前提ですが、長期で取引することで「だまし」にあいづらくなると考えています。いくつか根拠があるのですが、例えば以下のようなものがあげられます。

  • ファンドは市場参加者が多いところ(短い時間軸)を狙う
  • ファンドといえど、長い時間軸で「だます」のは難しい(資金力がいるし、リスクが大きい)
  • 競合が少ない(みんな短期間で儲けたいし、長期間の損失に耐えるとかムリ)
  • 短期ではワークしないシンプルなゴールデンクロス(GC)とデットクロス(DC)が長期ではワークする

タートルズを育てたリチャード・デニスもこんなことを言っています。

Q.だましの対策は

自分のトレードスタイルに応じて短期でも長期でも良いというのがその秘密だ。大部分のトレンドフォローのシステムは中期のトレンドをとらえるものだ。だから我々にとって最善の戦略は、その疫病のような中期を避けることだと思う。

Richard J. Dennis

一つの手法で30銘柄近い分散投資をする必要があるので、ある程度の資金力や技術、ツールが必要です。簡単な話ではないですが、やってみる価値のある方法だと考えています。(というか、実践しています)

※ 資金とリスク管理を徹底した場合の話なので損切りをしない「塩漬け」はまったくの論外です。

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abbamboo

タカハシ / 7年目の兼業トレーダー

このブログの目的は、「学習の備忘録」と「アウトプットして理解を深めること」。「トレードで稼ぐために学んだこと」を徹底的に公開していきます。

元・日本料理の板前、現・金融畑のウェブ屋さん
保有資格:証券外務員1種、認定テクニカルアナリスト

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