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トレンドフォロー比較:MACDか、20日ブレイクアウトか

Posted on July 19th, 2016Updated on May 4th, 2019

どんな記事

MACDとHL20のバックテストを比較・検討してみました。今回は全体を比較しています。次回以降、個別銘柄も少しだけ比較・検討して記事にしようと思います。

2016年8月9日 追記・修正

HL20のバックテストに誤りがあったため修正しました。

当初、HL20の方が成績が良くないという内容だったものが、さらに悪い成績になりました。この誤りに伴った画像の修正は行いません。

今回の修正では、HL20の勝率は大きく変わりなく、RRに変化が見られました。

トレンドフォローの比較

以前行った、資金管理を組み込んだMACDのバックテストの後、同じ期間と銘柄数でエントリーのシグナルを変えたバックテストを行いました。

今回行ったのは20日ブレイクアウト(以下、HL20)をシグナルとしたもので、タートルズが使用していた、トレンドフォローの基本とも言えるシグナルです。

前回同様、資金とリスクの管理を組み込んだバックテストで、出来る限り本番に近い環境の再現を目指しています。

結論

トータルでは、「MACD」が良い
精神衛生上は、「HL20」が良い

前回と同様に、エントリーシグナルをHL20としたバックテストでも「最終的に損失で終わった銘柄」はありませんでした。

その中で、それぞれのメリットがあり、最終的な損益の成績が良かったのは「MACD」、運用していく上で、精神衛生上に良いのは「HL20」でした(儲かってるけど成績は悪い)。

そして、次にやりたいバックテストも見えてきました。

この記事では、全体の結果を比較検討します。その後、3銘柄程度、個別銘柄を比較検討し、別途記事にしたいと思います。

全体での比較

ここでは、すべての銘柄をまとめて比較してみます。23銘柄を35年間(一部期間が短いものもあります)にわたってバックテストをしているので、統計としても十分なデータ量になっているのではないかなと。
次の「2.全体の比較」でいくつかの角度から分析をしています。

個別銘柄での比較

全体での比較ではなかなか目を向けるのが難しい、細かい部分に焦点を当てて分析していきます。価格変動を元に、資金の推移を比較検討してみようと思います。
個別銘柄の記事はこちらからご覧ください(随時、公開予定)。

全体の比較

MACDとHL20はどちらもトレンドフォローです。しかし、エントリーのアプローチというか、考え方が少し違います。

MACDは6-19-9で算出しているので、比較的短期です(通常は12-26-9)。これは、早めにエントリーする事によって、保ち合い期でも(なかなか難しいですが)利益を狙い、トレンド期では利幅を出来る限り大きく狙おうという意図があります。

それに対して、HL20は保ち合いを排除しようと試みています。つまり、保ち合い期はエントリーがなく利益を上げることができません。しかし、その分リスクも少ない。

CAGR / year avg.

銘柄別で1年ごと算出したCAGRを、年ごとに平均したものです。

CAGR(年平均成長率)
「毎年何%の福利で運用するとその利益額になるか」を表しています。たとえば100万円が7年で1000万円になったとすると、そのCAGRは約40%。毎年40%の利益を福利で運用すると7年で100万円が1000万円、10倍になります。

cagr year avg

全体的にHL20の方が良さそうに見えますね。HL20の初期に良い損益があったのは、相当なトレンドがあったことが予想されます。もしくは、近年、保ち合い相場が増えていると考えることも出来そうです。(初期は多少サンプルの数が少ないです)

CAGR / symbol

銘柄別の最終的なCAGRです。

cagr symbol

どちらもFTSE(イギリス平均株価)が最も成績が良く、2番はUSDJPYですね。ちなみにこのバックテストにはスワップは含まれていません。スワップを考慮するともう少し順位の上下があるかもしれないですね。

銘柄別にCAGRを見ると、MACDに分があると言えそうです。同じFTSEでも1弱と0.7では、35年経つととんでもない差が開きます。また、細かく見ていくと、金や原油などのコモディティ銘柄よりも、株価指数や為替の方が大きな利益につながっているのが分かります。

「破産の確率」の合計

破産の確率を年ごとに「合計」したものです。

MACD ruin macd

水色はバックテストを行った年数を表しています(最大35)。

HL20 ruin HL20

破産の確率はその名の通り、「そのトレードを続けていくと破産してしまう確率」を表しています。年ごとに算出しているので、その年の勝率とRRが基になっています。つまり、その年がマイナスで終わると破産の確率は100%に近い数値になるケースが多く、一定以上の利益を上げているとかなり低い数値になっているはずです。

グラフの縦軸は元々%表記だったものです。たとえば「5」という数値であれば、5つの銘柄がマイナスで終わったと思って差し支えありません(「破産の確率」の数値は変動が激しく、結果は99%か数%のどちらかになるケースが非常に多いため)。

破産の確率も初期はMACDが悪くて、ここ最近はHL20の方が悪いように見えますね。ここでも、トレンド・減、保ち合い・増の傾向が見えますね。

細かい数値はページ下部にある、fusion tableをご覧ください。破産の確率について詳しく知りたい方は、下記リンクから過去記事をご覧ください。

リターンと「勝率×RR」

ここでは、破産の確率では測れない要素を追求しています。
縦軸が「勝率×RR」、横軸が銘柄別、年ごとのリターンです。

MACD win rr  macd

HL20 win rr hl20

破産の確率は、あくまでも「破産する確率」を算出するためだけのものです。計算式が確立されているため信頼のおけるものですが、その反面、「儲かるかどうか」は一切分かりません。少し穿った見方をすると、破産しないだけで、「その勝率とRRでは一生儲かりませんよ」ということもありえます。

そこで、逆のアプローチから、大まかにでも把握できないかと考えたのが、このグラフです。(損失の許容が2%が前提で)勝率とRRの積と年間の損益をグラフとすることで、大まかな傾向を把握することができます。

ここで注目したいのは、HL20のリスク(年間の損失)が若干抑えられていること、そして、HL20のリターンが若干減っているように見える点です。リスクを減らした分リターンが減る。リスクとリターンが表裏一体であることをよく表しているように見えます。

前年比の散布図

銘柄別、年ごとの前年比の分布です。

MACD changes macd

HL20 changes hl20

最大DDの散布図

銘柄別、年毎の最大DDの散布図です。

精神衛生的にHL20の方が良いという結論にしたのは、ここが大きいです。資金・リスクを管理して、相関を考慮してポジションの管理をする。これを徹底すれば、MACDのシグナルでも破産することはないと考えています。――ですが、やはり大きなドローダウンは辛いものです。

MACD dd macd

HL20 dd hl20

全体のまとめ

数値で見る、全体のまとめ。(通貨は¥$€、混合)

MACDHL20
損益(平均)8168億2888万損益(平均)1425億7300万
損益(累計)18兆7870億6443万損益(累計)3兆1366億620万
最大DD(平均)59.5%最大DD(平均)55.9%

最大DDという括りにしてしまうと、DDがどれほど抑えられているのかが分かりづらくなりますね。上で見てきた通り、HL20におけるDDはかなり抑えられています。しかし、最終的な利益もかなり犠牲にしているとも言えます。

まとめの詳細なデータはこちらから

詳細なデータはgoogleのfusion tablesを用意しました。グラフや価格データ、テクニカルやシグナルの計算結果などを、フィルターをかけながら見ることができます。

タカハシ / 8年目の兼業トレーダー

元・日本料理の板前。現在は、投資やプログラミング、動画コンテンツの撮影・制作・編集などを。更新のお知らせは、各SNSやLINEで。LINEだと1対1でお話することもできます!

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