どんな記事
35年間の日経225のバックテストを比較・検証してみます。変えたのはエントリー。MACDとHL20(20日ブレイクアウト)というわずかな違いでも、結果には大きな違いが出てきました。
価格とシグナル、資金の推移
MACD vs HL20シリーズ第二弾!日経225の比較をします!
前回、1年ごとの画像をつくっていったら少々(かなり)手間だったので、今回は5年ごとの画像としています。明確に「この値動きでここエントリーなのか」という点を確認したい方はfusion tablesをご覧ください。かなり詳しく確認することができると思います!(パソコンでの閲覧を推奨)
さて、筆者がやるバックテストはすべて筆者自身のトレード手法に準じたものです。
筆者のトレードの総合的な成績を測ることと、筆者のトレードの手法のブラッシュアップのためにやってます(当初は、この資金管理で本当に大丈夫なのか確かめるという目的もありました)。
また、独学なので一般的なノウハウとはかけ離れたことをしているかも知れません。「これはこうした方が良いよ」ということを教えてくださる心優しい方がいましたら、どしどしご意見ください。待ってます!
1980-1990
今回は、どちらも100万円からのスタートです!
HL20というのは、タートルズが使っていたシグナルで、1980年代の当時はこの手法で大きく利益を上げていたそうです。また、基本的な資金管理とリスク管理もタートルズのそれに準じています(多銘柄での分散投資という点は除く)。
参考:「伝説のトレーダー集団 タートル流投資の魔術」(著)カーティス・フェイス
1980-1985
5年ごとのグラフにしたせいで、価格推移が「EMA300とその他の線」くらいのことしかわからないようになってしまいました。
基本的にEMA300よりEMA50が上にあるときは買いエントリーのみ。下の時は売りエントリーのみとしています。また、HL20のブレイクアウトより、MACD6-19-9の方がシグナルが早いです。長期EMAのフィルタリングは、シグナルが早いことによる副作用の対策として有効です(ダマシを減らす)。
保ち合いや、フィルタリングと逆方向に価格が動いているときは、資金が少しずつ減っていくのがわかると思います(もしくは変わらず)。
1986-1990
フィルタリングが切り替わる時期は資金が減りやすい傾向がありますね。
1990年時点でのCAGR
MACD:102.46%
HL20:87.95%
1991-1995
さて、1980年代は非常にわかりやすいトレンドでしたが、1990年以降はそうはいきません。長期の保ち合いが入ってきて、MACDが資金を減らしています。これは、MACDの方がシグナルが多く、チャレンジしている(ダマシが多い)からですね。HL20のブレイクアウトは、過去20日間の最高・安値を超えないかぎりエントリーしないので、その分、リスクは軽減できるということがわかります。
1996-2000
1980年代に比べると、かなり近代的な値動きになってきました。
これくらいの値動きだと、鳴かず飛ばずで、増えたり減ったり、ほとんど(目視では)資金量が変わっていません。単一銘柄だと必ずこういう期間があるため、実際の運用では分散投資が必要になります。
2000年時点でのCAGR
MACD:44.38%
HL20:39.42%
2001-2005
利益の違いは、資金量とエントリーのタイミングの違いです。
2001年時点ですでに、HL20の資金量はMACDの半分以下になっていますので、その分、利益も格段に違います。HL20単独でみると、MACDよりちょっと少ないくらいの利益になっています。ちりも積もれば山となる、ですね。特に複利で運用すると、この影響は非常に大きいです。
2006-2010
※目盛りは100億円
リーマン・ショックの後半から大きく利を伸ばしましたが、その後の反発と保ち合いで、利を削られました。
2010年時点でのCAGR
MACD:34.35%
HL20:29.16%
2011-2015
※目盛りは200億円
アベノミクスも大きく利益を伸ばしていますね。
これくらい大きなトレンドをガッツリとるための手法という感じがあると思います。逆に、それ以外の時期はできるだけ資金を減らさないようにチャレンジし続けます。いつくるかわからないビックチャンスを逃さないために――。
2015年時点でのCAGR
MACD:33.25%
HL20:28.77%
成績のまとめと考察
HL20 | MACD | ||
---|---|---|---|
start | 100万円 | start | 100万円 |
損益 | +51億0315万円 | 損益 | +183億4455万円 |
最大DD% | 51.88% | 最大DD% | 55.67% |
最大DD期間 | 43ヶ月 | 最大DD期間 | 45ヶ月 |
win | +90億9307万円 | win | +383億4496万円 |
loss | ▲39億218万円 | loss | ▲196億3570万円 |
勝率 | 49.5% | 勝率 | 46.9% |
RR比率 | 2.38 | RR比率 | 2.21 |
破産の確率 | 0.00% | 破産の確率 | 0.00% |
CAGR% | 28.77% | CAGR% | 33.25% |
MAR比率 | 0.55 | MAR比率 | 0.60 |
さて、USDJPYとNikkei225の成績の違いは下表のようになっています。
比べてみるとUSDJPYの方が格段に成績が良いですね。これは、銘柄固有の値動きによるものだと考えています。また、シグナルのフィルタリングを大前提として、HL20よりもMACDの方がエントリーが早い分、成績が上回っていると思われます。
タートルズの手法は、資金管理やリスク管理については現在でも大いに通用しますが、HL20については(儲かるのは儲かりますが)当時よりも成績が良くなる手法があると言えそうです。
USDJPY | Nikkei225 | |
---|---|---|
HL20 | 3位 | 8位 |
MACD | 2位 | 6位 |
今回のバックテストで初めて気づいたことですが、勝率とRRの良し悪しと損益の優劣は必ずしも一致しないようです。例外があると言ったほうがいいのでしょうか。
今回の結果をみると、最終的な勝率とRRはどちらもHL20の方が良い結果ですが、損益はMACDの方が格段に良い。時期による傾向の違いや、HL20とMACDのエントリーの違いによるものだと推測しています。
とはいえ、どちらも投資に失敗するような成績ではないというのは一緒ですね。HL20でトレードしていっても長い目でみれば利益を重ねていくことができることには変わりはないと考えています。
バックテストの概要
テクニカル分析、資金管理などについてさらっと触れます。詳細な解説はまた別の機会に。
対象銘柄
今回は「Nikkei225」を対象としています。100倍ごとの取引で、手数料は1枚(最小取引単位)あたり306円で計算しています。元金はどちらも100万円です。
テクニカル分析
テクニカル分析は売買サインや資金管理含めて以下のものを使用しています。
EMA300 300日指数平滑移動平均線
EMA50 50日指数平滑移動平均線
MACD6-19-9 | HL20(過去20営業日の高値安値)
ATR20
HL10(過去10営業日の高値安値)
みたことあるものがほとんどだと思います。奇をてらったものはあまり使いません。
300日と50日のEMAをフィルターにします。50日が300日より上のときはMACD(HL20)の買いエントリーのみ、逆に50日が300日より下のときはMACD(HL20)の売りエントリーのみとします。
資金とリスクの管理
資金管理とリスク管理は次のとおりです。
資金管理
1N = 投資金の1% = その日の20日ATRの値幅
エントリーは1Nずつ。最大で4Nまで。
最初のエントリー後「N/2」プラス方向に動いたら1N追加。そこからさらに「N/2」動いたら、もう1N追加。
バックテストの中では、それぞれ1u、2u、3u、fullとしている。リスク管理
損切り : 最初のエントリーから「2N(ATR20 × 2)」マイナス方向に動いたら損切りとする。
その後2N、3Nと増えるごとに、すべてのポジションの損切りを「N/2(ATR20の半分)」ずつ上げて行く。利益確定 : 4Nのエントリー時の損切りラインより、過去10日の最高(安)値が有利な方向に動いたら、それを決済のラインとする。
1Nを投資金の1%とします。たとえば100万円の投資金であれば、1Nでもてるポジションは想定リスク1万円で収まるサイズにします。たとえばATR20が100円とすると、1万円 / 100倍 / 100円 で1N = 1枚 となります。
測定方法
googleシートを使用。ひたすら関数で計算させています。Excelなんかの関数は他のプログラムと違って、もっともらしい間違いが多いので注意が必要です。
やむなく目をつむっている点
本来であれば、日々、もしくは週ごとの損益にあわせて随時サイジングをするのですが、今回はエントリー時のサイジングのみです。ホントは利益が出ているときはもっとサイズを大きく、損失が出ているときはサイズを小さくしていきます。あとは、他の銘柄との相関。これも含めて検証したいのですが、なかなか大変なので保留しています。
まとめの詳細なデータはこちらから
詳細なデータはgoogleのfusion tablesを用意しました。グラフや価格データ、テクニカルやシグナルの計算結果などを、フィルターをかけながら見ることができます。
タカハシ / 8年目の兼業トレーダー
元・日本料理の板前。現在は、投資やプログラミング、動画コンテンツの撮影・制作・編集などを。更新のお知らせは、各SNSやLINEで。LINEだと1対1でお話することもできます!
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