どんな記事
あなたは、「こうしていけば投資で勝てる!」というスキームを持っていますでしょうか。明確なスキームをもってい る投資家は、意外と少ないと思います。
この記事では、ボクがもっているスキームの根っこの部分をすべて公開しようと思います^^!
裁量取引みたいな経験にもとづいたものではなく統計にもとづいたノウハウです。つまり、「同じように組み立てれば誰でも再現できる方法」です。
この記事に掲載した方法を使うと、ある検証結果があるときに「何回トレードするとどれくらいの利益になるのか」や「そのトレードルールと自分の投資金でどの程度のリスクをとっていいのか」がわかるようになります!
Twitterでも紹介していただいています
ポイント1:トレードエッジ
ひとつ目のポイントは「トレードエッジ」。聞いたこともある方も多いかもしれませんね。ここでは基本的な解説をします。
「トレードエッジはよく知ってるよ」という方はポイント2へ進んでください^^
トレードエッジ = 優位性 = 期待値
エッジ(edge)とは、直訳すると「刃物の刃」を意味する英語ですが、投資においては一般的に「優位性」を指します。
つまりトレードエッジとは、「その投資における優位性」です。そして、統計学や確率論では、その優位性を「期待値」として表すことができます。
トレードエッジ = 優位性 = 期待値
「期待値」とは
Wikipediaで「期待値」について調べると次のようにでてきます。
期待値
確率論において、期待値(きたいち、英: expected value)は、確率変数の実現値を、確率の重みで平均した値である。
例えば、ギャンブルでは、掛け 金に対して戻ってくる「見込み」の金額をあらわしたものである。ただし、期待値ぴったりに掛け金が戻ることを意味するのではなく、各試行で期待値に等しい掛け金が戻るわけではない。
これだけだと、いまいちピンとこないと思います。Wikipediaに掲載されている『くじ引きの「期待値」』を考えてみます。
くじ引きの「期待値」
期待値を理解する上で、次のような計算例がよく取り上げられます。
くじ引きの「期待値」
次のようなゲームを考える。
- 100円支払えば、6面サイコロ1個を1回振ることができる。
- サイコロの目に応じて、次の金額を貰える。
- 20円
- 50円
- 100円
- 100円
- 150円
- 150円
このとき、もらえる金額の期待値を求めると、
期待値 = 20 × 1/6 + 50 × 1/6 + 100 × 1/6 + 100 × 1/6 + 150 × 1/6 + 150 × 1/6 = 95
である。
得られる金額の期待値 95 円が参加費 100 円を下回ることから、このゲームは「参加者が得をする可能性もあるものの平均的には損をする」ということが分かる。特に回数を増やすほど、試行ごとに 5 円の損をした状態に限りなく近づく。
期待値と言うとややこしく感じる人もいるかもしれませんが、すごく簡単ですよね。
それぞれの目に応じたリターンがあって、ひとつの目がでる可能性は6分の1ですから、上記のように計算すればサイコロ1回あたりの期待値がでるわけです。
そして、期待値というのは統計的なリターンの「見込み」ですから、「1回振ると必ずそのリターン」というわけではなく、「長い目でみると、それくらいのリターンになるよね」ということを表しています。
その根拠となるのが、次で解説する「大数の法則」です。
「大数の法則」とは
「大数の法則」は、数学の「統計学」や「確率論」の法則。数学的に証明されている法則 です。投資やギャンブルにおいては、その法則を活用することができます。
大数の法則
数多くの試行を重ねることにより、事象の出現回数が理論上の値に近づく定理のこと
「数学の――」なんて言い方をすると小難しくなりますが、実はすごく当たり前なことを言っています。
上で取り上げたサイコロの例でいうと、サイコロの1の目がでる確率は6分の1ですが、実際には6回振って必ず1回でるわけではありません。2回3回とでることもあれば、まったくでないこともザラにあります。
それに対して、例えばサイコロを6000回振ると、1の目はおおよそ1000回でます。これが「大数の法則」です。
ちょっとした実験で確か めてみます。
サイコロと「大数の法則」
今回は、次のような実験を行ってみました。
- サイコロを振って1~3の目がでた数をカウント
- サイコロを振った回数に対する1~3の目がでた回数の割合を計測
- その推移をグラフにする
- 1000回1セットで10セット計測する
- 理論値は50%
すると、次のような結果になりました。
図を見ると、なんとなく50%に収束していることが分かると思います。サイコロでやってみると非常に分かりやすいですよね。
ここまでで、ポイント1の材料は出揃いました!
次で、ポイント1をまとめます!
期待値は「大数の法則」の終着点
さて、「期待値」は、次のように『「大数の法則」の終着点』を表しています。
『「大数の法則」の終着点』= 期待値 × 取引量 × 取引回数
くじ引きの例で考えてみます。
- 上の例で、サイコロの期待値は95円だった
- この期待値のくじ引きを続けると――
- 『「大数の法則」の終着点』= 95円 × 1 × 600回 = 57000円
くじ引きを1回やるだけでは、当然95円にはなりません。しかし、「600回サイコロを振ると利益は57000円くらいになっているよね」ということを表しています。
では、サイコロの出目が「大数の法則」にもとづいた結果だと、どのようになるのでしょうか。
くじ引きの「期待値」――600回やると?
- 1回のサイコロで100円支払う
- サイコロを600回振ると、次のような結果になる可能性が高い
- 各出目の回数は「大数の法則」にもとづき、ちょうど100回ずつになったと仮定する
- 20円 × 100回 = 2000円
- 50円 × 100回 = 5000円
- 100円 × 100回 = 10000円
- 100円 × 100回 = 10000円
- 150円 × 100回 = 15000円
- 150円 × 100回 = 15000円
- 支払い額 = 100円 × 600回 = 6万円
- 利益 = 2000円 + 5000円 + 10000円 + 10000円 + 15000円 + 15000円 = 57000円
このように、取引回数を重ねれば重ねるほど、勝ったり負けたりしながら「期待値 × 取引量 ×取引回数」の結果に収束していきます。
このサイコロの例は支払い額6万円に対して57000円しか得ていないのでエッジ(優位性)があ りませんが、「エッジのある手法」をみつけて「期待値」を算出すると、「大数の法則」にもとづいて運用していくことができます。
期待値はバックテストを行うことで導きだすことができます。
つまり、「トレードエッジ」(期待値)はバックテストの結果を実際のトレードに落としこむ有効な手段である と言えます。
ポイント2:破産の確率
2つ目のポイントは「破産の確率」です。これも比較的有名です。トレードエッジに引き続き、ここでは基本的な解説をしますので、「破産の確率は良く知ってるよ」という方はポイント3へお進みください^^
「破産の確率」とは
「破産の確率」を知らない方には、この表をお見せするのがわかりやすいかなと思います。
1%のリスクでトレードした場合の破産の確率
5%のリスクでトレードした場合の破産の確率
15%のリスクでトレードした場合の破産の確率
30%のリスクでトレードした場合の破産の確率
60%のリスクでトレードした場合の破産の確率
横軸が勝率、縦軸が損益比率(RR比率)で構成されてる表です。
- 勝率が低い
- 損益比率が低い(利益よりも損失の方が大きくなりやすい)
- 大きいリスクでトレードをする
等で、破産の確率が上昇することが分かります。
破産の確率とは、具体的には次のようなものです。
破産の確率
その投資やギャンブルが破産する確率はどの程度なのかを算出する
以下の3つの項目をもとに算出することができる(実際には5つですが、ここでは割愛します)
- 勝率
- 損益比率(リスクリワード比率、ペイオフレシオ、プロフィットレシオ)
- 損失の許容(掛け金、リスク)
ご存じない方のために、3つの項目の簡単な解説も置いておきます。
勝率
誰もが知っている統計の項目です。勝率50%とすれば、1000回やれば500回くらいは勝てるんじゃないかいというやつです。
損益比率
これは意外と知らない人が多い項目。
そもそも名前がややこしいですね。同じことを意味する言葉がたくさんあります。損益比率とか、リスクリワード比率とか、ペイオフレシオに、プロフィットレシオまで――。
負けるときの平均損失に対して、勝つときの平均利益がどれくらいなのかを表す数値です。リスクリワードが2倍だとすると、負けるときの損失が平均1万円なら勝つときは平均2万円くらいだよねということです。
損失の許容
これはもっと知られていないですね。でも1番重要な項目です。
簡単に言うと掛け金のことです。いくらベットするのか。投資なら、1回のトレードでいくらの損失まで許容するのか。つまり、どれくらいのリスクをとるのかということです。
さて、前置きが長くなってしまいましたが、ここまでわかると表もよくわかります。次でもう1度、じっくり表をみてみようと思います。
重要なのはリスクテイク
見やすいように、同じ表をもう一度のせま す。
1%のリスクでトレードした場合の破産の確率
5%のリスクでトレードした場合の破産の確率
15%のリスクでトレードした場合の破産の確率
30%のリスクでトレードした場合の破産の確率
60%のリスクでトレードした場合の破産の確率
さて、あらためて見ていくとどうでしょうか。
勝率50%でリスクリワード比率が1倍だと、ほぼ間違いなく破産しますね。
リスクを1%しかとらなくても99%の確率で破産です。つまり、「2回に1回勝つ、勝ち負けはイーブン、リスクは1%」という条件であっても、ほぼ間違いなく破産する んです。ちょっと意外じゃないでしょうか。
次に、青いカーソルのある、勝率50%でリスクリワード比率が2倍の「破産の確率」を見るとどうでしょう。
リスクが数%のうちはどうってことないですが、リスクが上がってくると高確率で破産するという結果になります。 「2回に1回勝つ、勝ちは負けの2倍」という条件であって、そこそこ低リスクでも、高確率で破産するんです。投資って、リスキーですね。
注目するべきなのは、リスクを1%から、2%、3%、15%、30%、60%と増やしていくと、破産の確率もどんどん上がっていく ということです。いくら手法の成績が良くても、リスクを取りすぎてしまうとまったく意味がありません。
ちなみに一般的には、この破産の確率を1%以下に抑えるのが良いみたいです。