どんな記事?
この記事を読むと、以下のことが分かります。
投資初心者ができる
- 最低限の準備
- こうすれば負けない
- こうすれば勝てるかも
つまり、低リスクで経験を積む方法と、その手順です。
追記
- レバレッジを説明するスライドを追加
- ATRに関する注釈を追記(ATRの計算値「20」の根拠)
- 売りエントリーの場合は高値に設置するという補足を追記
投資初心者は、まず何をするべきなのか
誰もが悩みますよね。筆者もそうでした。
- ギャンブルが好きで、とにかく早く始めたい人
- 慎重に、勉強してからやりたい人
様々な人がいると思います。
そして、早く始めたいという気持ちも、慎重さも必要です。
例えば、野球をやったことがないのに、有名選手のバッティングを真似しても、いろんな球種の投げ方を調べても、それだけでは意味がないですよね?
慎重に勉強ばかりしていても身につきませんし、実際にやってみないと分からないこともたくさんあります。
かと言って、大損してしまう状態で始めるのも良くないです。
この記事では、安心して〝はじめの一歩〟を踏み出すための方法と知識 を、お伝えしたいと思います。
最低限の準備
投資をはじめるときに、まず何を用意すれば良いのか?
株やFX、商品に、仮想通貨。あとは、投資信託とか、外貨預金とか、広く捉えるなら不動産投資とか、最近ではワンタップバイなんていうのもあります。世の中には投資商品があふれていますね。
その中で、筆者が初心者におすすめするのは、FXです。
それは、次のような理由からです。
- 資金もリスクも数十円からはじめることができる
- 夜も取引できるため、忙しい方でも対応できる
- 通貨は主要な投資対象であること
- 法・規制などが整備されている
- 変な苦手意識を持たずに済む
何を準備すれば良いのか?
用意するものは、以下の2つです。
- OANDAの取引口座
- Googleのアカウント
この記事の中でも使いますので、まずは以下のリンクからお作りください。
こうすれば負けない
ここで言う「負けない」というのは 〝長期的に〟 負けないということです。
勝率100%の投資というのは〝絶対に〟ありません。なので、負けトレードは必ずあります。でも、負けはあっても良いんです。長期的に見て、結果、勝てれば、それで良いんです。それが投資です。
リスクは、投資で唯一、コントロールできるもの
長期的に負けないようにするには、リスクをコントロールする必要があります。
ここでポイントなのは、
- 投資の「勝つ」「いくら儲ける」は、思い通りにならない
- 投資の「リスク」は、自分の思い通りにコントロールできる
ということです。
「勝つ」「いくら儲ける」は、底上げはできても、コントロールすることはできません。当たり前のようで忘れてしまいがちなのですが、相場をコントロールすることはできません。「いくら儲ける」ではなく、流れに乗る必要があります。
一方で、「自分がとるリスク」は自分の思い通りに調節することができます。
この事実は、何よりも最も重要なことのひとつで、10年投資していても勘違いしている人が多いと思います。
具体的には、以下で解説する3つのことを実践するだけで、大負けすることはなくなります。
実践①:銘柄を厳選
リスクをコントロールには、「どの銘柄で投資するのか」が、わりと重要だったりします。
悪い銘柄を選ぶと・・・
- 人気のない銘柄で投資する
- 参加者が少ない
- その銘柄を買いたいときに売り手がいない
- 安く売ってくれる人がいないから、高い価格で買うしかない
- 不利な価格で取引することになる
銘柄が悪いと、こういうことが起きます。こういうのを「流動性がない」と言いますけど、それは、まあ、覚えても覚えなくても大丈夫です。要は、「人気のある銘柄で投資しましょう」 ということです。
今回はFXなので、以下の銘柄の中から好きなものを選んでもうらうことにします。
米ドル/円、ユーロ/円、ポンド/円、ユーロ/米ドル、ポンド/米ドル
ここでは、流動性というのが大事だということが分かればOKです。銘柄は、後で決めましょう。
実践②:取引量を計算
例えば、分かりやすく、
- 1ドルが今、100円だとします。
- で、1日で上下に 1円幅くらい動くとします。
すると、1ドルの 1日のリスクは、1円になります。
1ドル × 1円幅 = 1円 という計算です。簡単ですね。
で、FX は、どこでも大体 1000通貨ごとで取引できます。つまり、1000ドル分の取引です。すると、1日のリスクは 1,000円であることが分かります。(1000ドル × 1円幅 = 1,000円)
取引量 × 1日の値動き = 1日のリスク
で、リスクが分かるということですね。
この2つの中で、"1日の値動き〟は相場次第です。ということは、リスクをコントロールするには〝取引量〟を調整してあげるしかないわけです。
〝1日のリスク〟を決めれば取引量が計算できる
上の式を変形すると、次のようになります。
- 1日のリスク → 運用資金の1%とする
- 1日の値動き → ATRというグラフを確認する
この「1日のリスク」には、定石があって、運用資金の 1% が良いと言われています。資金が10万円なら、1% は 1,000円ですね。おっと、これって上の説明で出てきた金額ですね。資金10万円の投資家は、1000ドル分の取引ができるということです。(分からない方は、何度か読んでみてくださいね!)
「1日の値動き」はどうやって調べるのかというと、ATRというグラフ(チャート分析)を使います。ATRは、「1日の〝平均的な〟値動き」を測ってくれるもので、大体、どこのシステムでも入っています。ATRを表示して確認するだけなので簡単です。OANDAなら、以下のようにして確認することができます。
Googleシートを用意しました
簡単に計算できるように、計算表をつくりました。
誰でもコピーして使えますので、どうぞご活用ください^^
実践③:ロスカットを設置
取引量で、1日のリスクを「運用資金の1%」に調整できるようになりました。これを活かすと、1回のトレードのリスクを、"ある程度〟確定させることができます。
やることは1つで、ロスカットといわれる決済注文をあらかじめ設置しておくだけです。これだけで、1回のトレードのリスクを確定させられます。
「取引量」と「ロスカットの決済注文の位置」は、あなたが完全に自由に調整できるものです。これらの項目で、リスクをコントロールすることができます。あとは、不慮の事態が起きないように、人気の銘柄を取引すれば良いわけです。
最初のうちは、必ずロスカットの決済注文を設置する
- ロスカット幅を「ATR × 2」として決済注文を設置する( 1トレードのリスクを資産の2%に固定)
- 直近の安値(売りエントリーの場合は高値)にロスカット注文を設置する( 2-ATRよりも内側であることが望ましい)
定石と言われるのは、上記の①と②です。②の方が、値動きに応じたロスカットにできるため、余計なリスクを取らずに済む かもしれません。
補足
ここまでの補足です。ご確認いただくと理解が進むと思います。
補足1: FXは 10万円の取引が 4,000円で出来る
- 1ドルが今、100円だとします。
- で、1日で上下に 1円幅くらい動くとします。
この条件下では、1000通貨の1日のリスクは1,000円ですが1000通貨の価値は10万円(1000ドル × 100円)です。FXがすごいのは、この10万円の取引が 4,000円で出来てしまうところです。
この背景には「レバレッジ」という概念があります。気になる人はこのスライドを見てみてください。
補足2: OANDAは細かなリスク調整ができる
「取引が1000通貨ごと」が多いと解説しましたが、OANDAは1通貨から取引することができます。細かく取引量を調整できるということは、細かくリスクを調整できるということなので、おすすめです。
補足3: リスクによる利益と損失は表裏一体
図の方が絶対に分かりやすいので、スライドにしました。めちゃくちゃ簡単です。
こうすれば勝てるかも
コントロールできる「リスク」に対して、「勝つ」「いくら儲ける」は、思い通りにコントロールすることができません。
どう転んでも、
- 勝率が100%になることはないし、
- 1万円で100万円分の値幅をとるなんて決めても、その通りになることはないわけです。
できることは、コツコツと有意性を積み重ねることだけです。有意性というのは、有利なトレードということですね。ここでは、誰でも簡単にできる有意性を、いくつかご紹介したいと思います。
銘柄選び
銘柄を選ぶことは「こうすれば負けない」で取り上げましたが、勝つための銘柄選びは「切り口」が異なります。
難しい値動きのときはやらない
一言で表すなら、こんな感じでしょうか。
どんな値動きが難しいかと言うと、例えば、下図の四角のあたりです。
難しい値動きのときの方が多い
- 1つ目の四角 → 上下に大きく振れている
- 2・3つ目の四角 → 横ばい(もみあい)で取りづらい
- 利益を獲るのに値動きが必要だとすると、矢印のあたりで、売りや買いのエントリーができれば良い
- 矢印から始まるような一本調子の値動きは少ない
ということは、
- 「横ばい」や「短期間で上下に振れる値動き」が少なくて、
- 「一本調子の値動き」が多い銘柄で取引できたら有利ですよね?
そういう銘柄を探せば良いわけです。
例えば、こんな感じ
上の2つのチャートなら、とくに後半ですが、2枚目のGBPUSD(ポンド/米ドル)の方が、一本調子の値動きが多くて「とりやすそうだな」となるわけです。
個々人によって捉え方は色々ですし、状況も刻一刻と変化していきますが、やりやすい銘柄を、やりやすいときにトレードすることが大切です。逆に、ひとつの銘柄にこだわってしまうと、ムダな負けトレードが増えがちです。
大きな流れに沿ったブレイクアウト
大きな流れに沿う
- 価格が、200本・移動平均線より上なら、買いエントリーだけ
- 下なら、売りエントリーだけ
図の矢印がエントリーのポイントです。移動平均線より上にあるときは買いのみ、下抜けたときに売りエントリーの矢印を入れています。
移動平均線というのは、価格の平均をつないでいった線のことです。上のチャートでいうと、ピンクのラインのことですね。200本・移動平均線というと、ローソク足が1時間を表していて、それを200本分、平均しています。
移動平均線は、OANDAでは、次のようにすれば入れられます。移動平均線には、いくつか種類がありますが、ここではEMAを使っています。
ブレイクアウトに乗る
買いのブレイクアウト
- いくつかの高値をつないだラインを上抜ける
- 200本・移動平均線を上抜ける
売りのブレイクアウト
- いくつかの安値をつないだラインを下抜ける
- 200本・移動平均線を下抜ける
簡単に言うと、大きな流れからブレイクアウトしたときにエントリーします。最も古典的で、現在でも変わらず有効なエントリーのひとつです。感覚的に、非常に分かりやすいポイントだと思います。
利益確定は2パターン
利確は、状況に応じた使い分けが必要です。例えば、「寝る前には、決済注文を出しておいた方が良い」とかですね。個々人の好みもあります。なので、あ えて自由度をもたせたいと思います。次の2つを、たくさん試してみてください。
ターゲット価格を決めて、決済注文を出しておく
このチャートの場合、「entry」と書いている辺りで入るのが現実的だと思います。その場合のロスカットは、①と②の2パターンあり得るのですが、それぞれ、その値幅分のリスクをとることになります。例えば、「そのリスク幅の倍の価格に利益確定の決済注文を出す」などのアプローチがあります。
- ロスカットよりも大きい幅にするケースが多い(aならlosscut1の2倍、bならlosscut2の2倍など)
- 幅を広げすぎると、利益確定する前に価格が下がり逃してしまうことがある
- 狭くしすぎると、伸ばせた利益を逃してしまう
ターゲット価格の設定は奥が深いので、今後の記事で、順を追って解説していきたいと思います。
値動きが弱まったところで手動決済
こっちは、銘柄を監視して、程よいところで手動で決済するものです。この場合は、下向きの矢印の辺りで決済します。考え方は、ブレイクアウトに似ていますね。
まずは少額で、取引量とロスカットでリスクを抑えて、いろんなパターンの練習をしてみることをオススメします。こうやって、過去のチャートにお絵描きするのと実際のトレードでは雲泥の差があって、エントリーと利確は、実戦経験を積まないと上手くなりません。
はじめての手順
さて、最低限の準備と知識が揃ったところで、いよいよ手順の解説です!
① 銘柄を決める
- 流動性のある銘柄
米ドル/円、ユーロ/円、ポンド/円、ユーロ/米ドル、ポンド/米ドル
- 値動きの分かりやすい銘柄
5分足でトレードするなら1時間足や4時間足、時間足でトレードするなら日足で確認する
②は、実際にトレードするものよりも大きな時間軸のローソク足で確認すると分かりやすいです。
② 取引量を算出しておく
- 練習に使う資金を決めておく(1万円程 度でも可。まずはなくなっても良い金額で)
- 大きな時間軸のATRを確認(ATRの期間は20に)
- ①②をもとにGoogleシートで取引量を算出
③ 良い値動きが出たらエントリー
- ロスカットの価格を決めておく
ATRのN倍か、直近の安値。必要な場合はターゲットの価格も。
- エントリーの注文は成行注文
指値注文や逆指値注文でもOK。
- ロス カットの逆指値注文を出す
必要な場合は、利確ターゲットの指値注文も。
④ 手動の場合は、良い頃合いで決済
トレンドが弱まったことを確認して決済です。
思い立ったが吉日
筆者が投資をはじめるときに、こういう記事を見つけていたら、どんなに良かったか・・・
まずは少額で良いので、取引量とロスカットでリスクを抑えて、いろんなパターンの練習をしてみることをオススメします。過去のチャートにお絵描きしたり、投資の本をフムフムと読んだりすることは、もちろん大切なことです。
しかし、それと実際のトレードの間には〝雲泥の差〟があって、とくに、エントリーや利確は、実戦経験を積まないと上手くなりません。それに、個々人の合う合わないや、ライフスタイルとの兼ね合いなど、やってみて分かることが重要だったりします。
ただし、焦ってはいけない
筆者自身、まだまだ言い聞かせていることですが、「チャンスをじっくり待つこと」も必要です。
最初の頃って、「どんどんトレードしなきゃ!」みたいな気持ちになるか、「こわくて全然できない」みたいな感じなるか、極端になりがちなんですけど、中間くらいが理想だろうなって思っています。
焦ると良いトレードは出来ませんし、こわがってトレードしないと上手くなりません。「チャンスをじっくり待って、いざというときはスッとトレードできる」みたいな感じがベストです。
この記事で紹介したのは〝やってみる〟ための方法
取引量とロスカットによるリスクの調整は、この記事の内容で、本質的にはバッチリです。これだけやっていれば、大負けすることはなく、安心して練習することができます。
一方で、エントリーや利確、ロスカットの幅などは、あくまでも〝やってみる〟ためのものです。経験を積んだだけ、勉強しただけ、どんどん改善されていきます。
この記事で物足りないと感じる方は、どんどん勉強して、どんどん新しいことを試していってみてください!
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投資初心者の同僚にイチから投資を教えることに。せっかくなので「教える過程」をまるっと公開。まずは「あとは経験を積むだけ!」な状態を目指してもらいます。
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